2018年長野での皆既月食
長野(市内)に転勤してから初めての皆既月食を迎えた。
1月31日(水)の週の中日だが、月食の始まりが21時からとサラリーマンには救いの皆既月食である。
皆既月食にどのような撮影アプローチをするか、いろいろと思いを巡らせた。
フィルムカメラ時代は、狙った天体が撮影出来ていればその品質はともかく成果としてはOKであった。
しかし、デジタルカメラ時代になると、だれでもその場で撮影内容が確認できるので、撮影されているのは当たり前。
やはり、天文(天体撮影)を趣味と公言するにはそれなりの品質を求められることになる。
しかし、品質を求めれば求めるほど、その写真は、同じような写真になっていく。
もともと同じ天体・現象を撮影しているので同じようになるのは当たり前ではある。
そこで、自分らしさを求めていくと、一番簡単で分かりやすいのが「どこで」撮影したかである。
実際、天体や現象を観望しているときには、その背景と一緒に天文現象に感動しているのである。
東京近辺では、景色と一緒ならスカイツリーと皆既月食あたりが一番多いところでしょう。
せっかく長野に転勤して住んでいるので、それなりの背景をと思い、ロケハンを直前の週末に実施した(月の方向や高度をほぼ皆既の日と同じとした)。
やはり長野(長野市)というと善光寺である。長野の自宅から歩いて30分程度の距離にあり会社帰りでもお手頃である。
ただ、今回の皆既月食は「南東」から「南」方向で起こるので、南向きの善光寺は撮影には適さないと判断した。
そこで、私の会社関連の人しか知らないが、長野駅東口にある北向きの当社の大きな看板を背景の景色とすることにした。
今回の皆既月食、良くも悪くも、高度が高い。良くもとは、周りの建物に視界を邪魔されないということ、悪くもとは、逆に景色を入れて撮影するのが難しいということ。
広角レンズ(20mm以下の超広角?)を使用しないと、背景(地上の建物)と皆既月食の写真を一緒に撮影するのは難しい。
どうせ望遠レンズで撮影された写真はどこかでアップされると思い、思い切って背景入りの固定の連続広角撮影(11mmレンズ)一本に絞ることにした。
固定の連続広角撮影で一番、気になるのが、写真の画角に皆既月食の終わりまで、月が入り切るかである。
以前の皆既月食の撮影で最後に画角を外しそうになり、少しカメラの向きを変え、なんか微妙な連続写真(最後が一直線になっていない)になった珍プレーを演じてしまった。
ただ、闇雲に広角にすると、今度は月が相対的に小さくなり(点像になり)、月の変化の様子が良くわからなくなる。
ロケハン撮影では約5分間隔で写真上の月が重複しない感じで撮影出来ることを確認した。
それを30分間でテストして画面上でどれぐらい月が動くかを確認した。
それで約4時間でどれだけ移動するかを推測した。
このように、ある程度はロケハン時の撮影で月の動きをシュミレーションしたが、最後は勘に任せるしかない。
4時間近く、手動で等間隔に撮影することは難しいので(途中トイレも行けない)、自動インターバル機能を利用することにした。
カメラ(NikonD5100)自体にもインターバル撮影機能は付いているのだが、これだとカメラが常時駆動状態となるので4時間電池が持つかが心配された。
そこで、外部からの機器(TW-283)でインターバルを実行した。この場合、基本的にはシャッターを切った時だけ、カメラが駆動状態となるので電池の消費が最小限にできる。
やはり皆既月食の連続撮影で一番難しいのは露出の設定になると思う。
月の明るさがどんどん変化していくし、途中薄雲で月が見え隠れするとまた難しい。
そこで今回カメラのブランケット撮影で対応することにした。
2分間隔で3回(露出を-2、0、+2の最大値で設定)を6分で1セットすることにした。
↑写真左がデジタルカメラ、右がビデオカメラの三脚
↑左下が当社の看板(赤)
さて、皆既当日水曜日、会社も終わり、18時に自宅到着。ゆっくり夕食してから、長野駅東口に向かう。
もちろん防寒はバッチリ準備。この日は、比較的寒くなかった。駅前に到着。
多くの通勤客や観光客はいたが、皆既月食を意識した陣取りの人は当然ゼロ。
ロケハンで確認していた位置に三脚を設置して皆既の始まりを待つ。
横切る人の中には「何を撮影しているのですか?」という人もいましたが「今日は月食ですね」と知っている人も多かったです。
月食と知っている人も月食の全行程が10分ぐらいで終わると勘違いしている人も多かったです。
月食5分前から、インターバル撮影を開始。後は、カメラ任せという感じ。
私は、双眼鏡で月食の進行を楽しんでいた。
月の満ち欠けの変化が早く、6分間隔では変化に追いつけない感じ(物足りない)であった。
1分間隔3回で3分間隔でも良かったかもしれない。
今回の皆既月食の特徴は皆既が2時間近いということである。しかし、長いのも変化があまりなく微妙な感じである。
最近はFaceBookで各地のTAGメンバーの撮影状況がリアルに分かるので楽しい。
撮影した皆さまも感じたかもしれないが、皆既後半からしばらく雲のかかった状態となった。
そこで皆既後半はISO100から400に変更した(−2が+2に置き換わった感じ)。
カメラのバッテリーは結果的には4時間の撮影(撮影枚数約100枚)でもカメラの電池目盛りは一つも減らなかった。
今回全行程のビデオ撮影も実行した。こちらも外部バッテリーを使用して4時間駆動させた。
撮影が終わった時には、もう翌日になっていた。
さすがにその日は、翌日会社もあるのでデータ整理は出来ず就寝。
木曜日の夜にPhotoshopでデータを作成した。ちなみに会社の掲示板にこの写真を掲載したらすごく反応が良かったです
次回は7月で土曜日早朝の沈みながら皆既する月食。長野でどの景色を入れるかを考えるのが楽しみでもある。